副住職日記

2013-10-18 23:26:00

当たり前の大切さ

 長崎ブリックホールにて、ある講演会を聞く機会を頂き、3日連続で長崎へ。
講師の先生は「大野勝彦」氏

ちょうど一か月前、檀家さんから阿蘇の美術館での話を聞いたばかりだったので、縁を感じ、今回参加しました。

ご存知の方もいるかもしれませんが、大野さんは25年ほど前、農作業中に機械に挟まれ、両腕を切断。それほどの大事故にも、両腕を失ったお蔭で気づかされたことがあると・・・・

約1時間の講演でしたが、終始笑いあり、涙あり、考えさせられる話ばかり。自身の体験を通し気付いた「家族や人の優しさ」「いのちの大切さ」は何より説得力がある。自分の身近な者たちの自分に対する深い愛に気づき、それを素直に受け止め、その感謝の気持ちを大きな支えとして生きているということを全身全霊で伝えようとされていること。
怪我するまで子供や親を何とも思わず、強く当たっていたこと、優しい人を見ると「暇人」と思っていたこと、事故をきっかけとはいえ、自分の気持ちを正直に語れる、優しく強い気持ちを持った方なんだと・・・話を聞きながら感じました。

考え方はもちろん、何もできないと考えるより、できると思って行動する、人の喜ぶことをすることを常に考えていると話されたのが印象的です。

毎自作是念 以何令衆生 得入無上道 速成就仏身
          (法華経 如来寿量品第16)

仏様が与えた試練、きっかけ。日常での様々な出来事が、私たちに「大切なものに気付けよ」とのメッセージがこの経文です。

その試練を受け止め、自ら行動するその姿勢。そして事故のお蔭で今の幸せがあるという考え方。最後に義手で筆を持ち、すらすらと白紙に「笑顔」と書かれる姿を見て、涙が出た。



熱しやすく冷めやすい・・・・よし、やろう!という気持ちをいかに持ち続けるか。一つのきっかけを大事にしたいもの。常に見守ってらっしゃるという、感謝の気持ちを忘れずに・・・