副住職日記

2012-12-27 21:21:00

不思議な縁

 毎月、月回向を行っている檀家さん宅での話。
お勤めの後、御主人と話をしていると、昔話(若き頃)になり、
現在の自宅前の道路建設の経緯や、大人数の兄弟でひもじいながらも
助け合ってきた話などをじっくりとお話しいただいた。

そんな中、ふと、ある外国人の方の話になった。
その人は「マッケンジー」という名のイギリス人で、以前お寺の近所に住んでいて
よく遊びに行った・・・と。
親戚ということでもなく、仕事関係で親しくなられたそうだが、
戦時中の話であり、マッケンジーさんは、大変苦労されていたとか・・・

始めはピンと来なかったが、話を聞くにつれ、マッケンジーさんの奥様の名前が出てきたところで
あれ、どこかで聞いたような・・・・

記憶をたどると、住職との話の中で、本堂に奉納してある太鼓の施主の名前だったことを思い出した。また、境内にはマッケンジーさんの墓もあることも・・
本堂には、1対の太鼓がある。奉納されたのは原さん、岩永さんという方だ。
前者はマッケンジーさんの奥様、後者は二人の娘さん。
住職によると、祖国を離れ、遠い日本の田舎で生活は厳しかった。まして、戦時中。
周囲の目も家族に対して厳しくなったそうである。
マッケンジーさんの亡き後、供養のためにと奉納されたのが、現在の本堂にある1対の太鼓。
その太鼓で毎朝6時に響くお題目の音は、境内にあるマッケンジーさんのお墓に
きっと届いていることだろう。

今回もそうだが、一度や二度話を聞いただけでは、関心がなければ自分の心に残らない。
同じ話でも、アンテナがそちらを向いて受信すれば、きっと後につながる。

せっかく供養された太鼓。どんな思いで供養されたのかを考えながら
打つ太鼓の音は、きっとこれまでと違うはず。
想いを受け継ぎ、伝えていきたいものである。